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ヘルペスウィルスがアルツハイマー病を引き起こす可能性について

2020年01月24日

先進国において進行する高齢化社会の到来は、認知症患者の急増など新たな疾病上のリスクに直面することになっています。認知症にはいくつかのタイプがあることが知られており、脳卒中などに併発する脳血管障害型・妄想や厳格などの精神症状が出現するレビー小体型、前頭葉に病変が広がり性格や行動が豹変するピック病などがあります。かずある認知症のタイプの中にあって、患者数が多く年々増加する傾向を見せているのが、アルツハイマー病になります。

アルツハイマー病の発症原因は、アミロイドβという特定の種類のたんぱく質の蓄積にあります。アミロイドβというたんぱく質の集合体が脳に特徴的な斑(老人斑)を形成します。このアミロイドβの塊である老人斑が脳細胞同士の情報伝達を担うニューロンの働きを阻害することで、アルツハイマー病の発症につながるものと推測れているのです。
アルツハイマー病の増加は全世界的に問題になっており、先進国を中心に全世界で患者数は4400万人にのぼります。とりわけ深刻なのがアメリカで、患者数は550万人と8分の1を占めるとされるほどです。発症の原因がアミロイドβの蓄積にあることはすでに10年以上まえから明らかにされており、現在では5種類の治療薬が開発承認されているのです。治療薬はいずれもアミロイドβを脳細胞から取り除く作用で、症状の改善をめざすものですが、生活機能の維持など明確な効果をもつものはありません。いずれも初期症状を一時的に改善させるものの、認知症の進行を食い止めることは不可能で最終的には寝たきりになり死の転帰をたどることになるのです。

有効な治療法がなかったアルツハイマー病について、光明がさす研究報告が、アメリカの研究で明らかにされ注目をあつめています。件のアメリカの研究によると、手がかりになるのはアルツハイマー病患者の脳細胞にヒトヘルペスウイルスの6A型と7型の感染が多く見られたという事実です。
このヒトヘルペスウイルス6A型と7型自体は、きわめてありふれたもので子どもの発疹などの原因となるウイルスです。ところがアルツハイマー病に罹患している脳細胞に感染しているヘルペスウイルス6A型と7型は、健常者に比較すると倍近くにまで増加していることが明らかになった訳です。

アルツハイマー病ではアミロイドβの蓄積が顕著な事実と、ヒトヘルペスウイルスの6A型と7型が増加している事実との間にどのような関係性があるのかは現時点では明らかにされていません。しかし今回のアメリカの研究報告は、根治的な治療法を発見する可能性の手がかりを示唆するものです。単純にヘルペスウイルスをコントロールする抗ウイルス薬を投与することで、症状の改善や進行を食いとめることが出来るわけではありません。しかし今後はヒトヘルペスウイルス6A型と7型の増加と、ある遅配マー病進行のプロセスとの研究が進めば、抗ウイルス薬による治療の可能性も見えてくるものと予想されます。